青山学院大学 法学部・大学院法学研究科 | 大学院法学研究科

専攻主任・プログラム主任メッセージ

専攻主任メッセージ

ビジネスで専門家に求められる、「法的思考力」を存分に鍛えていただきたい。これがわたしの願いです。忙しい社会人であるにもかかわらず、「この大学院に入学してみようかな」と、その窓をのぞいてみたきっかけは何だったでしょうか? 人それぞれだと思いますが、おそらくみなさんは今日の社会で、ビジネスで「専門家」として活躍するためには、「法的な素養」を身につけることが必要だと思われたのではないでしょうか。法学研究科にある大学院を選ばれたということは、たとえ意識をしていなかったとしても、ビジネスにおける「法的ニーズ」の重要性を実感されていたのだと思うのです。

企業は行政調査を受けます。不祥事を起こして調査を受けることもありますが、大企業であれば、数年に1回は税務調査を受けます。そこで税法務を学べば、企業が苦慮している行政対応の局面において、「専門家」として活躍できる素地を得ることができます。

税務調査でも、かつては「おみやげ」などといわれる交渉が跋扈していた時代がありました。しかし2011年の国税通則法改正により、時代は大きく変わりました。税務調査も法的な手続として整備されたからです。同時に「法的三段論法」をフル活用して行われるべきものであることが、国税庁長官の発遣した手続通達からも明らかになりました。

法的三段論法とは、法律の条文を「解釈」することで導かれた規範(大前提)に、証拠によって「認定された事実」をあてはめ、「結論」を導くプロセスです。裁判官・検察官・弁護士(法曹三者)が、常に活用している思考方式です。

税法務に限らず、高度に専門性が分化した今日では、それぞれの法務分野において「法的三段論法」を前提にした「法的思考力」を駆使できる専門家が求められています。法的思考力は、何によって鍛えられるのでしょうか。答えは、「文章」です。大学院では、膨大な量の判決や論文を「読む」ことになります。そして、修士学位取得のための本格的な論文を「書く」ことになります。たくさん「読み」、たくさん「書いて」ください。そのプロセスによって、実務対応に必要な「法的思考力」は得られます。興味をもたれた方、ぜひ一緒に、学びませんか。

法学研究科ビジネス法務専攻主任(法学部教授)
木山 泰嗣

プログラム主任メッセージ

【税法務プログラム】 法学部・法学研究科教授 木山泰嗣

税法務プログラムの特色は、実務に直結する「法的思考力」を養うことができる点にあります。法学研究科の1専攻である以上、税法務プログラムでも、最終的には税法について特定のテーマを選び、研究論文を作成することになります(修士論文または特定課題研究論文を作成します)。

しかし、法学部出身ではない方も多く集まる税法務プログラムでは、単に税法論文を作成するために在学期間があるのではありません。論文作成に至るまでにさまざまな経験を積んでいただき、法的思考力を体得していただくプログラムを設けています。

その1つが、1年生の必修科目である「税務判例・事例演習」です。この科目では少人数のクラスに分かれて、税法判例の研究をします。法学部で行われるゼミ(演習)と同じように、1人の担当者(院生)が与えられた税法判例についてレジュメを作成して、これに沿った発表をします。発表の方法やレジュメの作成方法については担当教員からきめ細かな指導を受けることができますので、論文作成の基本技術も身につけることができます。また、演習科目ですので、発表後は、同じクラスの院生から質問を受けてそれに回答をするなどの討論(議論)の時間があります。教員からの質問や補足説明もありますので、1つのテーマについてしっかりと学ぶことができますし、その過程で法的思考力が養われます。

また、税法務プログラムではカリキュラムにはありませんが、模擬法廷(法廷教室)を使用したディベート大会を毎年5~6月に開催しています(税法務プログラムの大きな特色になります)。税法判例について、1年生で複数のチームをつくり、2年生のチームと対戦します。審査員は税法に強い弁護士や税理士が担当をしてくれます。ディベートで行う立論や質問・回答、最終弁論といったさまざまなプロセスを通じて行う法的主張の方法について、実務家(専門家)から直接にアドバイスを受けることができます。

2年生の研究指導演習では、いよいよ論文作成のための具体的作業に入っていきますが、社会人の院生が少しずつ論文作成を行えるように、前期(研究指導演習Ⅰ)では研究テーマに沿った構成メモ(論文の概要、目次、文献・判例リストなど)の作成を徐々に進めていただき、個々の発表をクラスの全員にみてもらうことで、他の院生からも刺激を受けながら、研究論文執筆のための作業をスムーズに進めることができます。

税法は最新の裁判例をみていても、これまで議論されていなかったような論点が登場し続けている領域で、日々議論が進化しています。税目も、所得税、法人税、相続税・贈与税、消費税といった国税のほか、固定資産税や不動産取得税、事業税・住民税といった各種の地方税もあり、手続を定めた国税通則法にもさまざまな論点があります(過大な申告に対して減額更正を求める更正の請求など)。当事者が締結した私法契約に適用されるのが税法であるため、税法を学ぶことはさまざまな契約類型・私法取引を学ぶことを意味します。離婚に伴う財産分与について所得課税が問題になることがありますし、信託契約について所得税法の不動産所得や法人税法の公正処理基準の適用が問題になることもあります。民法の組合(任意組合)や商法の匿名組合について所得課税が問題になった最高裁判決もあります。タックス・ヘイブン対策税制や移転価格税制、国内源泉所得といった国際課税についても新しい判例が登場しています。

このように多様なテーマが存在する税法について、院生は1つのテーマを選定し、判例を中心とした解釈論などを展開しながら、研究論文を作成することになります。そこでは判例はもちろん、さまざまな先行研究(論文)も読むことになります。

こうしてたくさん読み(インプット)、たくさん書き(アウトプット)、仲間と議論をし、教員からの指導を受ける過程を通じて、論文が完成するころには、「税務の専門家」である税理士も苦手としている法的思考力が自然と身についているはずです。法的思考力は、専門家として実務で税法に携わる際に「大きな武器」になることでしょう。

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